一番下に飛ぶ▼    >>次ページ


「あ、雪が・・・」
三人のうち一番後ろで歩いているアミダが言った。
「あ〜あ、もう1時だ、12時には次の町に着くんじゃなかったのか、ベカ。」
真ん中を歩いているウィーナが肩を落として言った。ベカと呼ばれた少年は、返事もせずに歩いている。
「シカトですか〜!」
「あと少しだよ、あと少し・・・」
ベカは口ごもって答えた。
雪はだんだん激しくなり、三人の口からは白い煙が絶えず立ち上った。
彼らは自分探しの旅と称して、目当てもなく故郷を飛び出して3日目になる。
どうも計画性の見当たらないベカに、今は2人も仕方なくついて行っている、という状況だ。     (#1 W 08.01.18)



公園の時計の針は1:30を指していた
空は真っ暗である
「ベカ〜〜…まだ着かないのかよ…ひっくしゅい!」
風邪でもひいたのだろうか くしゃみをするアミダ
まぁ雪が降る気温の中数時間歩いているのである 無理は無い
みんな寝ているのか 辺りにはポケモン鳴き声も人の影も何も無い まさにEMPTY
ウィーナが云った
「あれ…街じゃない…?」
あと1km…と云った処だろうか
3人に希望の光が天から差し込んできた     (#2 B 08.01.19)



「あ、ごめ・・・ちょい待ち」
ベカはそういうと背負っていたリュックから携帯を取り出した。
「やっと街がみえたのになにしてんの?」
アミダが文句を言うが見事にスルーしてベカは言った
「いや・・・あんなとこに街なんて無かったはず・・・」
携帯で何をしていたかと思えば地図か何かを調べたらしい
ウィーナはさらにがっくりとした。
「そんなわけないって・・・今現実にこうしてあるしさぁ」
あくまでもベカが言ったことを否定したいようだ    



「お〜い聞こえてるか?俺の話!」
「だから調べるまで待ってよ・・・えっとiメニューは・・・」
「早くしてよね、野宿なんか絶対嫌だからね」
雪は風に乗って吹雪となっていた。静かな公園で3人の声だけが寒空に響いた。
「あ・・・出た、この辺の地図だ」
ベカが言った。それを聞いたウィーナとアミダがベカに近寄る。ベカは携帯を差し出した。
「ほら・・・公園がここ、街のある方向はこっちで・・・ね、ないでしょ?」
確かに公園からは何本か道が出ていたが、大きな街と思われるような場所はどこにもない。
「データ古いんじゃない?とにかく街があるんだからまずそっちだろ!」
ウィーナはすっくと立ちあがり、2人を促して歩き始めた。     (#4 W 08.01.19)



之は不幸な出来事の前触れとでも云うのか
「あっ!電波切れた!」
ベカが叫ぶ 真夜中だと云うのに
しかしウィーナがそれを否定する
「んなわけないだろ…データが古いだけだってのBAKAが」
アミダも云った
「ウィーナの云うとおりだよ…寒いんだし早く行こうよ…」
しかしベカは意見を変えなかった
「絶対おかしいって…あの街に行くのはやめたほうがいいって…」
しかし ウィーナとアミダはそれを華麗にスルー 二人の脚は止まることは無かった ベカおいてけぼり
「どうなっても知らないよ…ほんとに…」
ベカもしぶしぶついていった     (#5 B 08.01.19)



「まぁ確かにこの流れはそういうフラグ立っちゃってるけど、寒いから早く屋内に入りたいという気持ちが優先されてる」
アミダもうすうすは何か思ってるようだ。
それに続きウィーナも言った。
「そうそう、腹だって空いちゃったしさ。まぁ悪くない街ってほうに賭けとこう」
「うーん・・・だといいけどね」
ベカはつぶやいた
「なんなら1人でここに残ってもいいよ?」
ウィーナはベカに向かって言った。
「いや、それは勘弁してください、ほんと。」
苦笑しながらベカも歩き続けた     (#6 N 08.01.19)



3人は意気揚々と街を目指している。ただ1人を除いて。
「ほんとに行くの?もし街があっても1回ぐらいスルーして・・・」
「じゃあ調査隊ってことで先に行っといてくれよ」
「なんか見つけたら戻ってきて連絡したらいいじゃん、ねぇ」
「ちょ・・・・・・もうわかったよ」
ウィーナとアミダは容赦なくベカに言う。これは今までの無計画さに対するうっぷん晴らしの意味もあった。

そして歩き続けること10分。雪も少し勢いが弱まり、ついに街の表門に着いた。
「ウェルカム トゥ ・・・グラップタウン、でいいのか?ほら見ろ、ちゃんとあったじゃないか!」
ウィーナはやけにうれしそうである。
「はぁ・・・マジっすか」ベカは苦笑いを浮かべた。     (#7 W 08.01.19)



「グラップタウン…聞いたことないし…」
ベカは苦笑いを浮かべる
「じゃあ逝ってこい。な?」 ウィーナの強烈な口撃がベカにHit
「分かったよ…行けばいいんでしょ行けば…」
「分かればよろしい」
アミダが上から目線でベカを見下す
「行ってきま…す」
ベカはグラップタウンと称された街へ踏み込んで行った     (#8 B 08.01.19)



「ん? 今なんか変な感触が・・・」
ベカが突然止まり、うずくまりはじめた。
「ちょ、何?どした?なんかあった?」
アミダが興味深々で聞くとベカは言った。
「・・・うわぁ・・・・なんか変なの踏んじゃった・・・」
「入って早々不運だなぁBEKA」
ウィーナはベカを馬鹿にするように笑った
「えーだって・・・なんこれ・・・きもっ」
ベカは顔をしかめた。靴についていたのは・・・     (#9 N 08.01.19)



ピンク色のガムのようなものがベカの靴底についていた。
「なんかわかんないけどやっちゃったなー、残念」
ウィーナはまだ笑っている。と、三人の前から叫び声が聞こえた。
「あー!僕のしかけたポフィンがー!」
三人は驚いて声のしたほうを見た。次の瞬間ベカが3mぐらい後ろに飛びのいた。
なんと、声の主はナゾノクサであった。丸い小さな顔いっぱい怒りの表情を出している。
「ポフィンて・・・ゲームに出てくるやつだよね・・・?」
「しかもナゾノクサが日本語しゃべってるし・・・」
ウィーナとアミダは後ろで震えているベカをほったらかして小声で話し合っている。
一方ナゾノクサも彼らの姿を見て、大声で叫んだ。
「人間だー!人間が来たあー!!」
ベカはまたビクッと体を震わせた。
ナゾノクサの叫び声を聞きつけてぞろぞろ現れたのは、1人、いや1匹残らずポケモンだった。
その光景を、ウィーナとアミダは呆然として見ていた。     (#10 W 08.01.19)



「僕の仕掛けたポフィン弁償してください」

「は?」
意味が分からなかったのでとりあえず「は?」とだけお返事を返しておいた。
すると…
「ゴフゥッ!!!!!」
ベカのお腹の真ん中にナゾノクサの体当たりがHit
どうやら怒ってしまったようです


「なんかやばそうだから私帰るね!!!またねっ!」
アミダが隙を見て一人で逃げ出す せこいぞちくしょう

すると1分後 アミダが戻ってきた
「出口がねぇ!!!」
は?     (#11 B 08.01.19)



「だからっ!!さっききた道戻ろうとしたら公園の入り口だか出口だかが
 なんか消えててかわりに見たことない標識があって」
「落ち着けアミダ、把握できない」
ベカがなだめようとするとアミダはベカのリュックを鷲づかみして そのまま走り出した
「ちょっ、あぶっ、後ろ向きで走らせないでー!!」
「いやいいから来てってほんとだって!」
そうとうあわてているようです


「あれ?ベカとアミダどこいった?」
ウィーナはナゾノクサの群れに取り残されたようです     (#12 N 08.01.19)



「ポフィン・・・」
ナゾノクサは1人取り残されたウィーナに、まだ訴え続けていた。
「うーん・・・弁償してあげたいんだけどさ、作り方がわかんないんだよね・・・」
「木の実持ってる?」
「あ、木の実ならたくさんあるよ。」
「じゃあできるね、一緒に行こう。」
「え、いやアミダが・・・」
「心配しないで、まず町長に会いに行かなくちゃ」
ナゾノクサはいつのまにか笑顔になっていた。そしてナゾノクサの言うまま、
30匹はいるであろうポケモンに誘導されながら、ウィーナは街の真ん中にある屋敷に案内された。
「町長さまー!」
先頭のナゾノクサが言った。すると正面の扉が開き、中からずいぶん貫禄のあるゴウカザルが出てきた。
「おお、人間が来たとは久々のことだ。ワシが町長のグラップ。よろしくな」
「ところでアミダは・・・?」
「ああ、彼女か、もちろん無事さ。連れて来い!」
グラップは部下と思われる2匹のジュプトルに言った。数分後奥から出てきたのは、なんとオリに入れられたアミダたちの姿だった。     (#13 W 08.01.19)



「監禁された☆」
「あのなぁ…」
ウィーナ呆れ顔

アミダが15分前の状況を語り始めた
「なんかベカ連れて走ってたのさぁ そうしたらいきなりマンホールに落ちて云々」
「マンホールに落ちる奴がどこに居るんだよ…」
ウィーナもっと呆れ顔


「で、こいつら放してやってくれませんか町長さん?」
きっとダメって云われるだろうな…とかアニメ的展開を予想しながらも 6階から目薬を垂らして目のど真ん中にinするくらい低い確率を信じて頼み込んでみた
「そいつは出来ねェ」
ほうらね     (#14 B 08.01.19)



「こいつらは実に馬鹿だ。簡単な罠にひっかかってくれるからな。」
グラップはあざ笑うように言った。マンホールは開いていたんじゃなく開けられていたようだ。
「なんで二人はこんなとこで捕まってんの?」
ウィーナはベカに尋ねた。
「いや僕らもわからないよ。なんせアミダに引っ張られてマンホール落ちて
 気がついたら縛られててさ・・・・・・」
ベカはアミダの奇行にうんざりしているようだ
するとグラップがまともな答えを出した。
「この街は許可証及び招待状が無いと入れない。
 それを持っていないものにはこの街は見えないはずだ。
 だというのに入ったからには罰をあたえんとな」
グラップが言い終わるなりアミダは言った。
「そういやなんでウィーナいんの?置いてきちゃったはずだけど」
「ナゾノクサがポフィンつぶれたことに関してすごく落ち込んでたから、
 作り直してあげるってことで木の実を探しに来たら、ここにつれてこられた」     (#15 N 08.01.19)



「とにかくここはポケモンの街・グラップタウン。掟に従わないものはこうなるのみだ。」
グラップはアミダたちの入ったオリを指差した。
「そして、そう簡単に出してはやれぬ。君次第なのだ。」
そういってグラップはウィーナを指差した。
「僕が?」
「そうだ。君はナゾノクサの言ったことに文句言わずついてきた。誰かさんとは大違いだ。」
アミダがキッと顔をしかめる。
「我々に従ってくれた君に二つ選択肢がある。
 とにかく彼女を置いてでも今すぐ出て行きたいなら出て行くがいい。『まとも』な街までは1kmもないからな。
 それとも彼女を救って旅を続けたいなら、ワシらの出すテストにクリアせねばならん。どうかな?」
「助けるに決まってるだろ・・・早く案内しろよ」
ウィーナは迷わず言った。グラップはにやけた顔で言った。
「わかった案内しよう、しかし今日は遅い。ぐっすり休みたまえ」 グラップはウィーナを屋敷に連れ込んだ。オリの中のアミダと目が合う。「早く助けて」と無言で訴えていた。

「僕の名前が出てこないんだけどな・・・」ベカが肩を落としてつぶやいた。     (#16 W 08.01.19)



「よーし おじさんテストがんばっちゃうぞー」
ベカの やるきが 1 あがった!

そして町長それをスルー
「ではテストに入る まずは…そうだなっ そこにいるナゾノクサをを 武 器 無 し で倒してみなされ」

「……ええええっ!!?」
無理だと思った
というか無理だ
人間がポケモンに勝つとか無理だって絶対
「では!死合 はじめっ!!」
嗚呼うるせぇよ町長ちょっと黙れよ・・・     (#17 B 08.01.19)



イエスは困っていた。

イエスはグラップ・タウンの役人という設定で、台本どおりに行くと
ここでウィーナたちの仲間になるはずだった。

筋書きとしてはこうだった。
町長のグラップはウィーナと一対一の勝負をする。もし勝てばアミダたちを連れて帰れるという条件がある。
ウィーナとグラップの戦いは思いのほか拮抗し、中々決着がつかない。
そのときが、私の出番である。
私は檻の鍵をこっそりと開け、アミダ、ベカが檻から出て戦いに加わり、グラップを倒す。
ウィーナがアミダたちを連れて帰るとき、私は彼らに協力した罰として、村を追い出され
まぁいろいろあって、彼らの仲間になるのである。
しかし今、目の前で大群のナゾノクサがウィーナに襲いかかっている。想定の範囲外だった。
漫画でいうと、ガーンと書かれたような。
とりあえず私は台本どおりに行動する事にした。鍵を手にし、檻へと向かう。     (#18 I 08.01.19)



   「ねーベカー」
「何?」
「暇だし、しりとりしねえ?」
「うっわぁまたありきたりな・・・・」 「じゃあ何するよ。暇で暇で仕方ない。DSでも持ってくればよかったかな」
「べつにいらんがな・・・・・・」
「・・・・・・もう故郷に帰りたい」
アミダとベカは檻の中でウィーナを待っていた。
檻の中は何もなくただ声が響くだけだった。

そのときだった。
「・・・・ん?今なんか音しなかった?」
「ごめん、私今寒くて耳が悪いからよく聞こえなかった」
どうやらベカが何か物音を聞き取ったらしい
     (#19 N 08.01.19)



「よく分からないけど…なんか鍵持ってる人がこっちに近づいてきてるような…」


カチャ…

カチャ…

「そうだ…誰かきてるよ…絶対…」     (#20 B 08.01.19)



              一番上に飛ぶ▲    >>次のページ